寄稿文掲載
WEB掲載論文
このページはローテンルーグナー学術協会の企画に対して寄稿いただいた論文を掲載しております。
ご寄稿いただいた論文は順次掲載させていただきます。
ルート分類:翠風の章
言語文化論
■「見舞い言葉「次の飛竜の節にも」の使用地域と用法の変遷に関する一論考 ―パルミラ竜葬信仰の視点から―」シリル・ニーマンド
別れの挨拶「次の飛竜の節にも」は、再会を望むという含意を持つ慣用句である。この慣用句は主に祝辞の場において結びの挨拶として使用されるが、フォドラの一部地域では病院において「お大事に」と同等の意味を持って発話される。しかしこの「人を見舞う場」での使用について深い議論がなされたことはなく、どの地域で使用されているか具体的に示す調査報告も見られない。本論考では病院で使用される「次の飛竜の節にも」を見舞い言葉と呼称し、見舞い言葉を使用する地域の特定を行う。また同時に、祝辞の場と見舞いの場という異なる場面で使用されるようになった要因について、パルミラの竜葬信仰を主軸にして考察する。
ルート分類:蒼月の章
歴史学
■「『ベルグリーズ軍記』の虚実 ―「奸臣」ヒューベルトは帝国を滅ぼしたのか―」ヴィートゥス=エルツベルガー
『救国王記』や『聖教会聖戦史略』と並んで三大統一戦争年代記の一つとされる『ベルグリーズ軍記』は,統一戦争前後のフォドラ史を論じる上でたびたび引用され,フォドラ地方の人々が統一戦争に対して抱く認識の形成に多大な影響を与えてきた。『ベルグリーズ軍記』の中では,宮内卿ヒューベルト=フォン=ベストラはアドラステア帝国滅亡の原因を作った奸臣と評されており,これが広く信じられてきた。本稿では,『ベルグリーズ軍記』のそうした記述について他の史料との比較をしながら,その妥当性について再検討する。
■「伝承の獣「一つ目」の正体 ―救国王ディミトリとの相似から―」マルグレット=フォーセル
統一戦争中にファーガス・アドラステアの国境付近で広く暴れたと伝承で語られる獣「一つ目」と隻眼の王ディミトリの相似は古くから指摘されてきた。二者には多くの共通項が存在し,同一の存在であったと仮定することで互いに抱えている謎を解き明かすことができる。しかし血に飢えた獣「一つ目」と救国王とも呼ばれるディミトリを関連付けることを厭い,本格的な議論はされてこなかった。本稿は「一つ目」伝承と救国王ディミトリの経歴を比較しながらまとめ,その相似を浮かび上がらせることで後の議論の一助としたい。
ルート分類:紅花の章
農林水産学
■「寒冷地向け小麦新品種デイム・ガラテアの育成」アラン・ボウローグ
寒冷地向け小麦デイム・ガラテアは1738年にガルグマク農業大学農学部農学科農作物研究部(ガラテアキャンパス内)において主に寒冷地でのより良質な収穫のための品質改良を目的に「レディ・イングリット35」を母,「フレスベルグ特種1022」を父として人工交配を行った品種から育成された品種である。
本品種はこれまでのガラテア地方で主力であった清廉の騎士ことイングリット=ブランドル=ガラテアが育成に注力したことで有名な「マダム・ガラテア」よりもやや早生で収穫量はほぼ同等である。生地の伸張抵抗・タンパク質含有量共に「マダム・ガラテア」よりやや高く製パン特性の一層優れた小麦であることから,本品種の栽培により近年の他国のパン食ブームによる小麦輸出量増大に対応できるガラテア地方産小麦生産の品質向上が図られることが期待される。
ルート分類:不問
魔道・理工学
■「転移魔法の転移距離における魔道具の相互効果」フリードリヒ・ジンガー
昨今の技術革新による魔道具のサイズ縮小化は,複数魔道具を一度に使用することを可能とした。二つの魔道具を同時に利用することにより,魔道具による人間の能力の拡張量が増加するという仮説のもと,転移魔法における転移距離が,二つの魔道具を併用することにより,どう変化するのかを測定した。その結果,GLT型魔道具とCRN型魔道具を同時に使用した場合,GLT型魔道具を単独使用した時に比べ,転移魔法の転移距離が有意に長くなる一方,他の魔道具との組み合わせでは有意差は見られず,組み合わせる魔道具により,効果が異なることがわかった。
水産生物・資源管理学
■「アミッド大河産トータテスローチの年齢と成長」マリエーレ=ハーゼ
トータテスローチ Cyprinus Teutates はトータテス湖を原産とし、ロディ海岸沿岸、アミッド大河にかけて分布する有用水産資源であるが、原産地から遠いアミッド大河においてはその生態や資源生物学的特性はあまり知られていない。本研究では、前任者Angelus=Fischer(1752)に引き続いてアミッド大河中流域で採集された標本を用いて耳石横断薄層切片による年齢・成長解析を行うとともに、これまでに得られた成熟に関する知見をもとに年齢別成熟割合を求めた。